【初心者向け】骨董品(絵画)の本物と偽物を見分けるための3つのポイント
「実家を整理していたら、なんだか古そうな絵が出てきた…もしかして、価値のあるもの?」
そんな時、期待と同時に「でも、これって本物なのかな?」という不安がよぎりますよね。骨董品の世界は奥深く、特に絵画は、本物と偽物を見分けるのが非常に難しいとされています。
しかし、プロの鑑定士だけが知る特別な知識だけでなく、私たち素人でも注目すべきいくつかのポイントがあります。今回は、あなたが見つけた「もしかして」を掘り下げるために、骨董品絵画の本物と偽物を見分けるための、とっておきのヒントを3つご紹介します。
1. 筆致(タッチ)と署名(サイン)を徹底的に観察する
絵画鑑定の第一歩は、なんといっても描かれた「筆致」と「署名」です。
筆致(タッチ):
偉大な画家には、それぞれ独自の筆遣いがあります。力強いタッチ、繊細な線、絵の具の厚みなど、個性は千差万別です。
偽物の場合、本物の作品を模倣しているため、筆遣いがぎこちなかったり、本物特有の「勢い」や「躍動感」に欠けていたりすることがあります。
もし可能であれば、その画家の本物の作品の写真と、目の前にある絵画の筆致をじっくり見比べてみましょう。
署名(サイン):
署名も、画家によって書き方が異なります。文字の太さ、書体、位置、そして書かれた年代によって変わることもあります。
偽物は、署名だけが本物と酷似している場合がありますが、全体的なバランスや、絵画本体のタッチとの不一致が見られることが多いです。
署名が不自然に新しすぎたり、逆に絵画本体よりも古びて見えたりしないか、よく確認しましょう。
2. 裏側と額縁に隠されたヒントを探す
絵画の真贋は、表側だけでは判断できません。意外と見落としがちなのが、絵画の「裏側」と「額縁」です。
絵画の裏側:
キャンバスや板の裏側には、作品が描かれた年代を示す情報や、画商のスタンプ、美術館の貸出記録などが残されていることがあります。
特に、木製のパネルに描かれた作品の場合、木材の経年劣化や、虫食いの跡などが、その絵が長年存在してきた証拠となります。不自然に新しい木材が使われていないか、カビやシミの跡がないかを確認してみましょう。
額縁:
多くの画家は、作品に合わせて額縁も特注していました。額縁の様式や年代、そして額縁の裏側に貼られているラベル(画商や展覧会の情報など)は、作品の来歴を知るための重要な手がかりになります。
額縁が作品の年代と合っているか、不自然なほど新しすぎないか、古い額縁に新しい絵がはめ込まれていないかなどをチェックしてください。
3. 専門機関の鑑定書や証明書を確認する
最も確実なのは、作品の真贋を証明する「鑑定書」や「来歴(プロヴナンス)」を調べることです。
鑑定書・証明書:
信頼できる鑑定機関や、その画家のご遺族が設立した団体が発行する鑑定書があれば、その作品は本物である可能性が非常に高いです。
ただし、鑑定書自体が偽造されている可能性もあるため、鑑定書を発行した機関が本当に存在するか、その情報が正しいかを確認することが重要です。
来歴(プロヴナンス):
どこで、誰がこの絵を所持してきたのか、その歴史をたどることを「来歴を追う」と言います。
有名なコレクターが所有していた、有名な展覧会に出品された、といった記録が残っている作品は、信頼性が非常に高まります。
4. 本物かどうかわからなくても、まずはプロに相談を
今回ご紹介したポイントは、あくまでご自身でできるチェック項目です。最終的な判断は、専門の鑑定士に任せるのが一番確実です。
「もしかしたら…」と思った作品は、すぐにゴミとして捨ててしまったり、自分で手を加えたりせず、そのままの状態で骨董品店や美術品買取専門店に相談してみましょう。
プロは、あなたが気づかないような細かな点にも注目し、作品の真贋と価値を正確に見極めてくれます。もしかしたら、想像もしなかったお宝が眠っているかもしれません。
「これは本物だ!」と決めつけるのではなく、「もしかしたら、お宝かも?」という好奇心を持って、専門家に相談してみてください。その一歩が、あなたの人生を豊かにする出会いにつながるかもしれません。