長く愛せる相棒に!陶器・磁器の正しい手入れ方法と保管のコツ
お気に入りの陶器や磁器の器は、毎日の食卓を豊かにしてくれる大切な存在ですよね。でも、「使っているうちにシミが…」「なんだかカビ臭い…」といったお悩みを抱えている方もいるのではないでしょうか。
陶器と磁器は、見た目は似ていますが、その性質は全く異なります。それぞれの特徴を理解し、正しいお手入れ方法を実践することで、お気に入りの器をより長く、美しく保つことができます。
この記事では、陶器と磁器の違いから、購入後の「目止め」という大切な儀式、そして日常的なお手入れや長期保存のコツまで、焼き物愛好家の皆さんが知っておきたい情報を網羅的に解説します。
1. まずは知っておきたい!陶器と磁器の違い
お手入れ方法が異なる最大の理由は、原料と性質の違いにあります。
陶器:
原料: 粘土が主成分。
特徴: 焼き固める温度が低いため、焼き上がりは土の温かみがあり、素朴な風合いが魅力です。吸水性が高く、目に見えない小さな穴(気孔)がたくさん開いているため、汚れや匂いが染み込みやすい性質があります。
磁器:
原料: 陶石(石の粉)が主成分。
特徴: 高温で焼き固めるため、薄くても丈夫で、表面はガラス質でツルツルしています。吸水性がほとんどなく、汚れが染み込みにくいのが特徴です。
2. 陶器を長く使うための第一歩!「目止め」という大切な儀式
陶器には、目に見えない無数の穴が開いているため、使い始める前に「目止め」という処理を行うことが推奨されます。
「目止め」とは、その穴を塞ぎ、汚れやシミが染み込むのを防ぐための大切な工程です。
目止めのやり方
お米のとぎ汁につけ置き: 陶器がすっぽり入る鍋に、洗った陶器を入れ、お米のとぎ汁を注ぎます。そのまま30分〜1時間ほどつけ置きます。
煮沸(煮沸処理): 鍋を弱火にかけ、15分ほど煮沸します。この時、陶器同士がぶつからないように注意しましょう。
自然冷却: 火を止めて、鍋ごと冷まします。
水で洗い、しっかり乾燥: ぬるま湯で洗い、風通しの良い場所で完全に乾燥させます。
この一手間が、あなたの陶器を長く守るための最大の秘訣です。
3. 日常のお手入れとトラブル対処法
日々の使い方と、もしもの時の対処法をご紹介します。
(1) 陶器のお手入れ
使用後すぐに洗う: 汚れや匂いが染み込む前に、できるだけ早く洗いましょう。
柔らかいスポンジで優しく: 陶器の表面は傷つきやすいので、柔らかいスポンジと中性洗剤で優しく洗います。
しっかり乾燥: 表面が乾いているように見えても、内部に水分が残っていることがあります。カビや匂いの原因になるため、風通しの良い場所で半日〜1日かけて十分に乾燥させましょう。
(2) 陶器のトラブル対処
カビ・黒ずみ: 軽いカビは、お湯と重曹や酢を混ぜたもので煮沸すると効果的です。しつこいカビには、陶器用の酸素系漂白剤を使用する方法もありますが、変色や絵柄が落ちる可能性もあるため、目立たない場所で試してから行いましょう。
茶渋・シミ: 茶渋は、塩をまぶして湿らせたスポンジでこすり洗いしたり、重曹をペースト状にして塗りつけ、しばらく置いてから洗い流すときれいになります。
(3) 磁器のお手入れ
基本は中性洗剤とスポンジ: 磁器は吸水性が低く丈夫なため、普段の食器と同じように洗うことができます。
金彩・上絵付に注意: 金や銀の装飾が施されているものは、強くこすったり、クレンザーやメラミンスポンジを使用すると、剥げてしまう可能性があるので注意が必要です。
食洗機もOK: ほとんどの磁器は食洗機に対応していますが、金彩や上絵付があるもの、薄手のものは手洗いをおすすめします。
4. 長期保存する際の注意点
コレクションとして長期保管する際も、いくつかのポイントがあります。
湿気と直射日光を避ける: 骨董品と同様に、高温多湿の場所や直射日光が当たる場所は避けましょう。
個別に包む: 重ねて保管すると、衝撃で割れたり欠けたりする原因になります。一つずつ柔らかい布や紙(和紙などが最適)で包み、箱にしまいましょう。
高所は避ける: 地震などで落下し破損するのを防ぐため、高い場所への保管は避けましょう。
まとめ
陶器と磁器は、それぞれに異なる魅力と個性を持っています。
陶器は「目止め」と「しっかり乾燥」を忘れずに。
磁器は「金彩や絵柄」に気をつけ、優しく扱いましょう。
少し手間はかかりますが、その分愛着も増していきます。この記事を参考に、あなたの大切な焼き物たちを、いつまでも美しい状態で楽しんでくださいね。