【専門家の証】骨董品鑑定書を読み解く!記載内容から信頼性まで徹底解説
ご自宅の骨董品に**「鑑定書」が添えられていたら、それはお宝かもしれません。鑑定書は、その品物が「本物であること」、そして「どれほどの市場価値があるか」を証明する、いわば骨董品の戸籍謄本**です。
しかし、「難しい漢字ばかりで何が書いてあるか分からない」「この鑑定書は本当に信頼できるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
鑑定書を正しく読み解くことは、品物の真の価値を知り、買取査定を有利に進めるための重要なステップです。この記事では、鑑定書に必ず記載されている基本情報から、信頼性の見極め方、そして鑑定書がない場合の対処法まで、骨董品の専門知識を分かりやすく解説します。
1. 骨董品鑑定書に記載されている最重要項目
鑑定書は、その品物が「誰によって作られ、いつ頃のものか」を公式に証明するものです。主に以下の4つの項目が記載されています。
1.1. 作品名と作者名(真贋の結論)
鑑定書の中核となる情報です。
作品名(題名・呼称): 陶磁器であれば「○○焼 ○○茶碗」、絵画であれば「富士図」など、その品物の正式な名称が記されます。
作者名: 著名な作家の名前が明記されます。鑑定書があるということは、**「その作家本人の作品である(真作である)」**と鑑定機関が認めたことを意味します。この情報こそが、買取価格に最も直結します。
時代・制作年: 「江戸時代後期」「明治時代初期」など、おおよその制作年代が記されます。
1.2. 形状・寸法・素材(作品の特定情報)
作品の同一性を証明するための物理的な情報です。
寸法: 高さ、幅、奥行き(掛け軸なら縦横)が正確にミリ単位で記されます。
素材・技法: 陶磁器であれば「磁器、染付、青磁」、絵画であれば「絹本彩色、油彩」など、使用されている素材や描画技法が記されます。
特記事項: 傷や修理の有無、特徴的な付属品(共箱や識箱、添え状など)に関する情報が記載されることもあります。
1.3. 発行元・鑑定責任者(信頼性の根拠)
鑑定書の「権威」を示す、最も重要な項目です。
鑑定機関名・責任者名: 鑑定書の発行元(機関、団体、個人)と、鑑定を行った責任者の署名や落款が必ずあります。
発行日・シリアルナンバー: いつ発行されたかという日付と、鑑定書自体の管理番号(シリアルナンバー)が記載されます。これらは、書類の信頼性を高めます。
1.4. 鑑定価格(市場価値の指標)
鑑定書には、「鑑定価格」、つまりその品物が市場で取引されるであろう市場価値の目安が記されている場合があります。(※記載がない場合もあります。)
注意点: この鑑定価格はあくまで市場価値の指標であり、買取業者が提示する**「買取価格」とは異なります**。業者は市場価格を参考に、商品の状態や在庫状況、流通ルートなどを考慮して買取価格を算出します。
2. 鑑定書の信頼性を見極める3つのポイント
鑑定書は、その品物の価値を証明する強力なツールですが、鑑定書自体が偽造されていたり、信頼性の低い機関が発行していたりするケースも存在します。以下の3点を確認し、その鑑定書が**「市場で通用するか」**を判断しましょう。
2.1. 発行元の権威をチェックする
鑑定書の信頼性は、誰が発行したかによって決まります。
最も信頼性が高い: 公的な機関や、各分野で伝統と権威を持つ団体・美術商組合(例:東京美術倶楽部)が発行したもの。また、**特定の有名作家の「所定鑑定人」**が発行したものは、流通上の価値が担保されます。
注意が必要: 個人や無名の団体が発行した鑑定書は、信用度が低く、買取価格にほとんど影響しないことがあります。
2.2. 署名と印章が鮮明か確認する
鑑定書には、鑑定機関や責任者の署名と公印が押されています。
確認ポイント: 署名や印章が鮮明であるか。印刷ではなく、肉筆の署名や朱肉の押印が確認できると、正式な書類としての信頼性が高まります。破れや汚れで署名が不明瞭になっていないかもチェックしましょう。
2.3. 作品との同一性が確認できるか
鑑定書に記載された寸法や特徴(特記事項)が、現物と完全に一致していることが重要です。
確認ポイント: 鑑定書を読みながら、ご自身の品物をメジャーで測り、記載されている寸法とわずかなズレもないか確認します。もし鑑定書に記載されている**「キズや補修跡」**が品物と一致していれば、その鑑定書は当該の品物のために発行されたものであると確信できます。
3. 「鑑定書がない」は不利?買取を成功させるコツ
鑑定書がなくても、骨董品の買取は可能です。しかし、鑑定書がある場合に比べ、買取業者は真贋を判断するリスクを負うため、査定に差が出ることは覚悟しておきましょう。
3.1. 鑑定書がない場合の対処法
プロの眼力に頼る: 鑑定書がなくても、経験豊富なプロの鑑定士であれば、落款や作風、時代の特徴、素材などから真贋を見極めることができます。高い査定スキルを持つ信頼できる業者を選びましょう。
「保証書」や「共箱」を揃える: 百貨店や有名画廊の保証書、あるいは**作者の箱書き(共箱)**は、鑑定書と同等、あるいはそれ以上の証明力を持つ場合があります。これらをすべて揃えて査定に出しましょう。
来歴を明確にする: **「いつ、どこで、誰から買ったか(受け継いだか)」**という情報を明確に伝えることで、品物の信頼性を補うことができます。
3.2. 鑑定書の「有料取得」は慎重に
鑑定書がないからといって、売却前に高額な費用を払って鑑定書を取得するのは慎重に判断すべきです。
費用倒れのリスク: 鑑定書の取得費用は数万円かかるのが一般的です。品物の市場価値が低い場合、鑑定費用が買取価格を上回り、損をしてしまう可能性があります。
所定鑑定人: 有名作家の作品で、鑑定書が必須と市場で決められている場合は、費用を払ってでも取得する価値がありますが、その判断は素人には難しいため、まず信頼できる買取業者に相談しましょう。
鑑定書は、骨董品売却における強力な武器です。記載内容を理解し、その信頼性を確認することが、納得のいく高価買取への第一歩となるでしょう。