「言う」の敬語・類語バリエーション|「呈する」「申し述べる」「言上する」の正しい使い分けとマナー


はじめに

ビジネスシーンや冠婚葬祭、公式な報告の場で、思わず「なんて言えばいいんだろう?」と迷ったことはありませんか?

日常的に使う「言う」という言葉。しかし、相手が目上の人であったり、大勢の前で発言したりする際には、「言います」だけでは言葉足らずで、どこか幼い印象を与えてしまうことがあります。

大人の語彙力として身につけておきたいのが、状況に応じた「言う」のバリエーションです。特に**「呈する」「申し述べる」「言上する」**といった表現は、使いこなせれば「教養のあるプロフェッショナル」としての信頼を勝ち取ることができます。

この記事では、これら類語の意味の違いや使い分けのポイント、そして相手を敬うための正しいマナーについて、具体例を交えて詳しく解説します。


1. 「言う」の基本敬語をおさらい

まずは、基本となる3つの敬語区分を確認しましょう。ここがすべての土台となります。

  • 尊敬語:おっしゃる

    (相手が言う場合)「社長がおっしゃった通りです。」

  • 謙譲語:申し上げる・申す

    (自分が言う場合)「私からご説明申し上げます。」

  • 丁寧語:言います

    (状況を丁寧に伝える場合)「これから詳細を言います。」

これらを理解した上で、さらに一歩進んだ「大人の言い換え」を見ていきましょう。


2. 「呈する」「申し述べる」「言上する」の違いと使い分け

これら3つの言葉は、すべて「言う・伝える」という意味を含みますが、使うべき場面(シチュエーション)が明確に異なります。

① 「呈する(ていする/ついする)」:感情や意向を差し出す

「言う」というよりも、自分の心の中にある「思い」を形にして、相手に献上するというニュアンスが強い言葉です。

  • 適した場面: 感謝、お祝い、お悔やみ、強い敬意を示すとき。

  • 例文: 「これまでのご厚情に対し、心より感謝の意を呈します。」

  • ポイント: 単なる情報の伝達ではなく、**「重みのある感情」**を届けたい時に最適です。

② 「申し述べる(もうしのべる)」:順序立てて詳しく伝える

「言う」の謙譲語である「申す」と、詳しく話すという意味の「述べる」が合わさった言葉です。

  • 適した場面: 会議での意見表明、公式な場での挨拶、報告書など。

  • 例文: 「私の見解を申し述べさせていただきます。」

  • ポイント: 単発の言葉ではなく、**「ある程度まとまった内容」**を論理的に話す際に使われます。

③ 「言上する(ごんじょうする)」:目上の人に申し上げる

古くは身分の高い人に申し上げることを指した言葉で、現代でも非常に謙虚な表現として使われます。

  • 適した場面: 非常に格式高い式典、伝統的な場、あるいはユーモアを交えて謙遜する場合。

  • 例文: 「一言、お祝いの言葉を言上いたします。」

  • ポイント: 日常のビジネスでは「申し上げる」で十分ですが、**「最大限の敬意」**を払いたい特別なシーンで光る言葉です。


3. 状況別・「言う」の類語バリエーション一覧

シーンに合わせて以下の言葉を使い分けると、表現の幅がぐっと広がります。

言葉ニュアンス・使い方
述べる公式な場で意見や考えを口にする。
告げる決定事項や情報を相手に伝える。少し一方的な響きがある。
表明する自分の意思や決意を、周囲にはっきり示す。
提言する意見として「こうしたほうがいい」と提案する。
陳述する法廷や公的な場で、事実や意見を詳しく口にすること。
吐露する心の内にある秘密や本当の気持ちを、隠さず打ち明ける。

4. 知っておきたい「大人の言葉遣い」3つのマナー

言葉を選びすぎて、逆に失礼になってしまう「敬語の罠」に注意しましょう。

① 二重敬語を避ける

「おっしゃられる」は「おっしゃる(尊敬語)」に「れる(尊敬助動詞)」がついた二重敬語です。正しくは「おっしゃる」で十分です。

また、「申し述べさせていただきます」も、文脈によっては「申し述べます」のほうがスッキリとしていて、自信がある印象を与えます。

② 声のトーンと表情を一致させる

「感謝の意を呈します」という立派な言葉を使っていても、無表情や早口では真心が伝わりません。難しい言葉を使うときほど、ゆっくりと丁寧に、相手の目を見て話すことが大切です。

③ 相手のレベルに合わせる

専門用語や難しい類語を並べすぎると、相手が気後れしてしまったり、話の内容が入りにくくなったりします。相手との関係性を見て、あえて「お伝えします」のような平易な言葉を選ぶのも、真の語彙力です。


5. 語彙力を磨くことがもたらすメリット

なぜ、これほどまでに多くの言い換えを覚える必要があるのでしょうか?それは、言葉があなたの「看板」になるからです。

  • プロ意識の証明: 正確な言葉選びは、仕事に対する誠実さの表れです。

  • 誤解を防ぐ: ニュアンスに合った言葉を使うことで、自分の意図を正確に伝え、トラブルを回避できます。

  • 人間関係の潤滑油: 相手を敬う言葉は、相手の自尊心を尊重することにつながり、円滑なコミュニケーションを助けます。











まとめ

「言う」というアクション一つをとっても、これほど豊かな表現が存在します。

  • 感謝や敬意を深く伝えたいなら**「呈する」**

  • 公の場で順序立てて話すなら**「申し述べる」**

  • 最大限の敬意を持って伝えるなら**「言上する」**

これらの言葉を状況に合わせてパズルを組み合わせるように選べるようになれば、あなたの言葉には深みが増し、周囲からの評価も自ずと高まっていくでしょう。

まずは、次回の会議やメールの結びで、これらの中から一つ、自分に合った言葉を試してみてください。その一歩が、あなたの「品格」を形作っていきます。


今回学んだ「言う」のバリエーション:

  • 呈する: 感情を差し出す。

  • 申し述べる: 論理的に詳しく話す。

  • 言上する: 非常に格式高く申し上げる。

  • おっしゃる: 相手を敬う基本。

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